オカモト株式会社様
AS/400依存から脱却。mcframe 7で4工場と本社の業務を標準化し、「数字で語る経営」へ
~意思決定の精度を高め、世代を超えて事業成長を支え続ける基盤を構築したオカモトの基幹システム改革~
取組
- 4工場と本社を対象に、mcframe 7(以下、mcframe)でマスタ・入力・承認・権限を標準化
- 段階的な移行と全社教育で現場への定着を促進
効果
- 在庫・原価・納期を共通の数値で把握できる環境を構築
- 素早く一貫性のある経営判断を実現
オカモト株式会社様
- 設立
- 1934年1月10日
- 本社所在地
- 〒113-8710 東京都文京区本郷3丁目27番12号
- 事業内容
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- 産業用製品
- 生活用品
- 太陽光発電など
- 対象拠点
- 静岡工場・茨城工場・福島工場・つくば工場
本プロジェクトはオカモト株式会社が、静岡・茨城・福島・つくばの4工場および本社(資材調達部・経理部・経営管理室・システム戦略部)を対象に立ち上げた全社プロジェクトです。同プロジェクトは株式会社テクノスジャパン(以下、テクノスジャパン)が連携し、資材調達・製造管理・在庫管理・原価管理の各領域における現場の関係者とともに、検討・設計・テスト・移行までを一貫して推進。品質確保を徹底し、安定した本番稼働へつなげました。

オカモト株式会社 取締役 田中健嗣様(中央)/システム戦略部 課長 鈴木政弘様(左)/現場担当リーダー 鈴木寧々様(右)
オカモト株式会社は、AS/400 と Excel/Access を中心に運用しており、拠点ごとに入力基準が異なるため数字の前提がそろいにくい状況が続いていました。また、棚卸や納期調整のたびに前提合わせに時間を要していました。これを解消し在庫・原価を共通の定義で可視化するため、既存基幹システムを mcframe へ刷新。4工場と本社を巻き込んだ全社横断プロジェクトとして、テクノスジャパンの常駐チームとともに、数十名体制で推進しました。mcframe でマスタ・入力・承認を統一し、経営と現場が同じ数字で迅速に判断できる土台を構築しました。
導入の背景や狙い、導入後の効果・変化について、取締役の田中健嗣様、システム戦略部 課長の鈴木政弘様、現場担当リーダーの鈴木寧々様にお話を伺いました。
導入前の課題
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- 老朽化した既存基幹システムへの依存で保守リスクが増大
長年使われてきた基幹システム IBM i(旧AS/400、以下、既存基幹システム)の老朽化に加え、レガシー技術をサポートできる保守要員が社内で減少。その結果、障害復旧や機能改修に時間を要し、継続利用のリスクが高まっていた。
- 老朽化した既存基幹システムへの依存で保守リスクが増大
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- 分散・属人化した業務データ管理による工数増加
改修リードタイムの長さから Excel/Access による独自管理が広がり、入力ルールや管理方法が部門ごとに分かれて分散・属人化。受払照合や棚卸の整合性確認・修正に追加工数が発生していた。
- 分散・属人化した業務データ管理による工数増加
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- 生産進捗・在庫管理の運用ばらつきに伴う調整負荷の増加
仕掛品や中間品の実績をロットで把握しづらく、在庫可視化が不十分。取引先や工場に合わせた運用が併存し、棚卸や納期管理の調整負荷が増加していた。
- 生産進捗・在庫管理の運用ばらつきに伴う調整負荷の増加
導入後の効果
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- 既存基幹システムから mcframe へ刷新し、安定稼働を実現
サポート体制の整った mcframe へ刷新し、計画的な移行で運用を安定化。保守要員減少に伴う復旧・改修の遅延リスクを低減した。
- 既存基幹システムから mcframe へ刷新し、安定稼働を実現
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- Excel/Access の分散・属人化に起因する不整合・工数課題を改善
生産・購買・在庫・原価の基幹データを mcframe に一元化し、マスタ・入力ルール・承認・権限を全社で統一。Excel/Access の個別運用は原則廃止とし、二重入力・転記を削減。
- Excel/Access の分散・属人化に起因する不整合・工数課題を改善
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- 生産進捗・在庫の可視化と標準化による調整負荷の削減
ロット別実績の記録と製造BOM(M-BOM)の整備により、生産進捗と仕掛品・中間品を含む理論在庫を可視化。入力手順・帳票・承認を標準化し、工場間の運用差を是正。在庫精度と納期遵守の安定化を実現。
- 生産進捗・在庫の可視化と標準化による調整負荷の削減
事業概要
―はじめに、事業内容について教えてください。
取締役 田中健嗣様:当社は産業用製品から生活用品、医療用手袋まで多岐にわたるものづくりを展開しており、静岡・茨城・福島・つくばの工場を中心に、原材料の調達から出荷まで一貫して行っています。特に仕掛品や中間品も多く扱っているため、在庫管理はもちろん、原価や納期においてもロット単位でのきめ細かな運用が求められます。
レガシー刷新と全社標準化で、ばらつきと属人化を解消へ
―今回のプロジェクトを開始するに至った背景を教えてください。
取締役 田中健嗣様:背景は三つです。第一は、約30年前に導入した既存基幹システムが老朽化し、レガシー技術への依存が深刻でした。保守できる人材も減り、トラブル対応や改修にも支障が出る状況がありました。
第二に、現場ごとの独自管理により業務データが分散・属人化し、各工場や本社部門での照合作業・修正工数が増大していました。たとえば、Excel/Access が増えすぎて、どれが「正」か誰も言い切れない状況でした。
第三に、仕掛品や中間品など生産途中品では、工程特性に応じた運用が併存しており、ロット単位の実績把握と在庫の可視化に一部ばらつきがありました。工場ごとにローカルルールもありました。棚卸や納期調整にも余計な負担がかかっていました。
課題は特定部署の問題ではなく、各工場の現場部門から本社の資材調達部・経理部・経営管理室・システム戦略部まで広がっていましたので、拠点横断の合意形成が不可欠でした。

取締役 田中健嗣様
―こうした課題を受け、システム刷新に踏み切った最大の狙いは何だったのでしょうか。
取締役 田中健嗣様:最大の狙いは、拠点間でばらついていた日々の運用と入力ルールを全社で標準化し、「誰もが同じ基準・同じデータ」を根拠に判断できる環境を整えることでした。業務プロセスやマスタを根本から見直し、実態に即した経営と現場改善ができる会社へと進化すること。これが刷新の本質的な目的です。
mcframe を選択した理由
―mcframe を選択した理由をお聞かせください。

システム戦略部 課長 鈴木政弘様
システム戦略部 課長 鈴木政弘様:生産・原価管理領域を標準機能で広くカバーできる点が決め手でした。基幹データを mcframe に一元化し、マスタや入力ルール、承認・権限を全社で統一できるため、独自台帳に起因する整合性・工数の課題を解消できる見通しが立ちました。大規模ERPとも比較しましたが、導入期間・コスト・拡張性・ロット対応・仕掛品対応の適合性のバランスから mcframe を選定しました。試作画面を用いた検証で早期に業務プロセスのすり合わせができ、要件の食い違いを抑えられた点も高評価でした。
現場担当リーダー 鈴木寧々様:現場視点では、mcframe の標準機能でロット別の実績(出来高・投入・工数)の登録や製造BOMの整備が進めやすく、生産進捗と仕掛品・中間品を含む理論在庫の可視化に直結する点が採用理由でした。あわせて、入力手順・帳票・承認を標準化し工場間の運用差を是正でき、棚卸後の修正や納期調整といった調整負荷の削減につながる点も効果として見込めました。
パートナー選定の決め手
―数あるパートナーの中で、株式会社テクノスジャパンをパートナーに選んだ理由を教えてください。

現場担当リーダー 鈴木寧々様
システム戦略部 課長 鈴木政弘様:初期提案の段階から、現場の実情や課題をよく理解した上で、実現可能な計画や具体的な手順を示してくれたことが印象的でした。導入ベンダーの選定後のアドオン(個別開発機能)検討段階では、両社でアドオン判定会議を設け、テクノスジャパンの助言のもとで、本当に必要な開発に絞り込めたからこそ、将来のメンテナンスの負担やリスクを減らせたと実感しています。品質監査から運用設計まで一貫して丁寧に伴走いただけたことも、信頼につながりました。
現場担当リーダー 鈴木寧々様:提案段階から、テクノスジャパンは常駐を前提とした体制を提示してくれました。日々の課題を迅速に共有・整理しながら計画・実行・評価・改善のサイクルを継続的に回してくださいました。小さな要望にも丁寧に対応し、現場部門とシステム戦略部の意見・課題を整理して、プロジェクト全体の推進力につなげてくれたと感じています。伴走支援への安心感は大きかったです。
スコープと全体像
―プロジェクトのスコープと全体像を教えてください。
システム戦略部 課長 鈴木政弘様:本プロジェクトの対象は静岡・茨城・福島・つくばの4工場および本社(資材調達部・経理部・経営管理室・システム戦略部)です。業務範囲は、調達・生産計画から外注加工・製造管理、在庫管理・原価管理、会計システム連携まで。当社が要件定義・業務設計を主導し、テクノスジャパンが mcframe のシステム設計・開発・実装を担当しました。プロジェクト方針は「標準の先行確立」です。各工場でばらつきのあった在庫やBOM、マスタ、入力・承認の手順を標準化し、その標準を mcframe に実装しました。業務とデータの標準(目指す姿)は私たちが主導して決め、システムへの設計・実装はテクノスジャパンに担ってもらう、という役割分担で進めました。周辺システムは必要な連携に絞り、全体としてデータを一本化する構成としました。また、拠点をまたいでも定義と粒度がそろうよう、在庫・原価・納期は mcframe で、損益は会計システムおよび経営ダッシュボード・集計ツールで一元的に可視化する構成にしました。
―mcframe の導入はスムーズに進みましたか。
現場担当リーダー 鈴木寧々様:導入はスムーズに進みました。本番前は、全工場横断で旧システムと新システムの結果を並べて比較するテスト(現新比較)を実施しました。課題は都度可視化し、プロジェクト関係者で共有して抜け漏れなく対応しました。さらに、マスタ整備・入力ルールの徹底と教育を実施し、安定した運用立ち上げにつながりました。
―現場の手応えを教えてください。
現場担当リーダー 鈴木寧々様:立ち上げ直後は問い合わせが多かったものの、日次レビューと現場向けの教育・手順書改訂を重ね、現場の業務量を平準化できました。テクノスジャパンの現場の実情を引き出すヒアリング力、課題を整理して要件・手順へ落とし込む要件定義・設計力、さらに運用設計のコア原則に関する専門的な指摘が効果的に機能し、段階的な移行で確実に立ち上げることができたと感じています。本番稼働後は、4工場と本社の横断チームで運用定着と改善を継続しています。現場教育と手順書整備・日次レビューを通じて現場での運用を安定化し、在庫・納期・原価の共通指標で意思決定できる状態を全拠点で実現しています。ロット別の投入・出来高を記録できるため、棚卸差異の原因を追いやすくなり、修正の手戻りが目に見えて減りました。今は画面を見れば会話が早く進みます。会議時間も大きく減少したと実感しています。

つくば工場
導入効果
―導入効果を教えてください。
取締役 田中健嗣様:導入後の主な効果は三つです。一つ目は、基幹システムの安定化です。既存基幹システムから mcframe へ刷新し、標準機能を中心に段階ごとの合意点を設けて進めたことで、安定稼働を継続しています。保守要員の減少で将来的に不安だった運用リスクも、解消できました。
二つ目は、Excel/Access 起因の分散・属人化の解消です。以前は工場ごとに Excel/Access を持ち寄り、数字の前提合わせに時間を要していました。今は mcframe の画面を「正」として全員が同じ数字を見られるので、在庫数の確定、納期の確約、手配の優先順位まで短時間で結論が出ます。基幹データを mcframe に集約し、マスタ・入力ルール・権限を全社でそろえたことで、受払や棚卸のばらつきが解消されました。二重入力や転記も減り、整合性確認・修正にかけていた工数は大きく削減できています。
三つ目は、仕掛品・中間品の可視化と現場負荷の軽減です。ロット別実績の記録とBOMの整備で、仕掛品・中間品を含めた理論在庫が見えるようになりました。手順・帳票・承認も標準化し、棚卸後の修正や納期調整が効率化しました。在庫精度と納期遵守の安定化につながっています。可視化と標準化は工場単体での改善ではなく、全社共通のルールとして定着しつつあり、横展開のスピードが格段に上がりました。
「数字で語る経営」と信頼できる共通データ基盤の構築
―今後の展望をお聞かせください。
取締役 田中健嗣様:今後の展望は、「数字で語る経営」を当たり前にし、意思決定の精度をさらに高めることです。実際原価と標準原価の両面から収益性を捉え、利益を生む領域へ資源を集中します。工場や事業の収益性を同じものさしで可視化し、迅速かつ一貫性のある判断を行いながら、納期・品質とのバランスを取りつつ、稼ぐ力を底上げします。
同時に、世代を超えて機能する経営基盤の確立を図ります。共通定義で整えたデータとルールを会社の骨格として定着させ、誰が経営を担っても同じ前提で意思決定できる「信頼できる共通データ基盤」を築きます。次の世代が迷わずデータに基づいて判断できる状態を引き継ぎ、変化に強い組織へ進化させていきます。

オカモト株式会社 取締役 田中健嗣様(中央)/システム戦略部 課長 鈴木政弘様(左)/現場担当リーダー 鈴木寧々様(右)
――テクノスジャパンからひと言(読者の皆様へ)
「システムは手段であり、成果は業務の標準化と運用の定着で決まる」
私たちはプロジェクトを二つの軸で進めてきました。
一つ目は「土台づくり」。後追いではなく実態を確実に記録する運用へ切り替え、工場横断で業務ルールや承認プロセスをそろえました。二つ目は「目指す姿の具体化」。原価管理レベルの向上、在庫の日次可視化、生産・品質の可視化を段階ごとのチェックポイントで検証しながら形にしていきました。
「システムを入れれば解決」ではありません。私たちはお客様と、データで意思決定する運営(KPIや責任の置き方)、現場のオペレーション(実績入力のタイミング、出庫・棚卸の手順、権限分掌)、全社の業務とシステムのバランスを考慮したルール(マスタ定義や品目・ロットの付番、BOM・原価の更新、承認・月次締めのフロー)を共同で設計し、現場に定着する支援をします。その伴走こそが成果につながると考えています。