導入事例

コーデンシ株式会社様

グローバル展開×経営スピード早期化を狙ったSAP ERP導入で始まった意識改革

取組

  • 16年前に導入したオフコンからSAP ERPへ基幹システム刷新
  • 現行業務の徹底的な見直しとFact-High Techによる業務標準化
  • 導入テンプレートによる短期間・少人数での導入

効果

  • 業務の見える化による社員の意識改革
  • 部門に限定されない、全社レベルでの業務効率化
  • スピーディーなデータ連携が可能にした各種データの有効活用

Fact High-Techの優位性を最大限に効果発揮
SAP AWARD OF EXCELLENCE 2010 優秀賞「プロジェクト・アワード受賞」

コーデンシ株式会社

コーデンシ株式会社

創業
昭和47年(1972年)5月1日
従業員
280名
本社所在地
京都府宇治市槙島町十一の161
事業内容
半導体の製造販売、電子応用機器の開発
URL
http://www.kodenshi.co.jp/

業務プロセスに見直しにより、アドオン開発を行わない!
その姿勢を貫くことで、低コスト・短期間でのビッグバン導入に成功!

30年以上の歴史を持つ「光半導体」専業メーカーである、コーデンシ株式会社は、 長期間変更が行われていなかったオフコンによる基幹システムを刷新。業務改善・ 経営の効率化・海外拠点との連携を考慮しSAP ERP導入を決意した。導入に際し SAP ERP導入テンプレート「Fact-High Tech 」を最大限活用し、自社の業務を 見直すことによりアドオン開発を行わないという方針を打ち出した。そのことが低コスト での導入はもちろん、僅か8ヶ月という短期間でのカットオーバーを実現した。

海外拠点とのデータ連携業務のスピードアップのためERPの必要性が増大

海外に複数の拠点を持つ光半導体メーカーであるコーデンシ 株式会社は、16年前に導入したオフィスコンピュータ(以下オフ コン)による基幹システムを運用していた。
「情報提供の手段はメールやFAXという時代から、ネットを通じてお客さまに確認していただくような即時性が求められ るように変わってきた。お客さまのニーズと、情報更新のスピード アップに対して対応していくためにもまず基盤としてERPの 導入を行う必要があった」さらに「今後積極的にこういった情報を経営にも活用していけるように、基盤となる基幹システムを一新するからには今後の展開拡充に対応できることが条件だった」そう管理統括執行役員として今回のプロジェクトオーナーを務めた松村氏はERPシステムの導入に至った背景を語った。
具体的な課題として、海外拠点との情報共有という問題があったという。同社は工場として、韓国・中国、販売拠点として香港・シンガポール・上海に展開しており各拠点間の情報共有の必要性が高まっていた。「ERPパッケージを海外の工場が導入しており、それに伴って今後さらにデータを連携しなければならない状況の中でオフコンでは対応しきれない状況だった」そう話すIT部門マネージャーである豊田氏は、既存のシステムでは海外連携が難しかった状況を思い出す。また「海外の拠点とのデータのやり取りの際、必要な情報はオフコンからダウンロードして何時間もかけて加工をおこない、メールでやり取りしていた」と海外との情報の共有にも煩雑な作業が発生していた状況があったという。このような状況の中、同社はERPシステム の必要性を十分に認識していたが、ERP導入を決定するまでの道のりは平坦なものではなかった。

導入パートナーとしてのSAP導入実績はもちろん、業務理解による円滑なコミュニケーションを期待

豊田 修治氏
管理統括 IT Manager
豊田 修治氏

「導入をすると決めている側というのは、自社の仕事に対しては精通していても、SAPやERPについては素人です。そこで、規模に見合ったサポートをしていただけるかということが非常に重要でした」と松村氏は導入パートナー選定のポイントを語った。
今回の導入パートナー選定にあたって多くの企業を検討し、そういった検討の中で懸念に思ったことがあったという。松村氏によれば「今回パートナーの選定をする段階で、大手企業の冠が付いているパートナーのプレゼンテーションを受ける機会もあり、内容も納得できるものだった。しかし、導入に際しては協力会社の方が実務を担当するなど、コミュニケーションが途中途中で切れてしまうという懸念があった」という。具体的には、社員数100名から300名位の会社が導入を進める場合、プロジェクトのメンバーを実務から離して多数用意するというのは現実的に不可能である実情があった。そのような環境だからこそテクノスジャパンのように、最新のIT技術に熟知したコンサルタントの方による一貫したサポートが重要だったという。
また同社は光半導体の専業メーカーということもあり、導入パートナーとして、半導体業界特有の「ランク選別※」など業務内容を理解している必要があった。豊田氏は業界特有の事情をこう語る。「今回の導入前に一度SAPを検討してペンディングしたという経緯がありました。テクノスジャパンとはその当時からお付合いがありまして、弊社の業務や半導体業界特有の業務内容を理解いただいているという背景があった。今回アドオン無しで導入するにあたり、いかに業務をシステムに適用していくのかという部分が重要だった為、長期間に渡り弊社に向き合っていただいているテクノスジャパンなら安心できる」という判断があったという。

※ 同一半導体であっても性能により選別を行い別の製品として出荷を行う。

業務をテンプレートにあわせる。トップダウンによる社内の意思統一

松村 幸彦氏
管理統括 執行役員
松村 幸彦氏

「アドオンを極力行わないでそのまま導入するというのは、我々が今やっている仕事の方法がスタンダードなのか、妥当性があるのかということをもう一度見つめなおす意味合いがあった。
16年間これでいいと思って業務を行っているが、世の中とぜんぜん違うことを行っていて実は無駄な業務が多いのではないかことを見直したかった」自社業務の見直しについて松村氏が語った。それを踏まえた上で「SAPのテンプレートは多数の実績を積まれた上で出来上がっている為、業務のスタンダードと考えることができる。システムのほうを我々に合わせるのではなくて、我々の仕事をあわせる。それがスタンダードな合理的な仕事の進め方に変えていける要素になると考えられる」と松村氏は導入にあたっての大前提をそう語った。
システムに合わせて自社の業務を改革していったという流れは、エンドユーザとコンセンサスをとっていく必要があった。その時の状況を豊田氏が語った。「ERPの導入の動きは以前からあり、一度SAP以外のERPパッケージの導入にチャレンジして失敗した経緯があった。当時はパッケージに合わせようという意識統一がうまく取れていなかったのが失敗の要因だった。今回は導入の責任者である松村より、キックオフ段階で各部キーマンに周知され、そこから実際の業務担当者にも方針を伝えることが出来た。その結果トップダウンによる意志の統一を取ることに成功した」と今回のプロジェクトにあたり社内の土壌が整っていたことが成功の大きな鍵になったという。
SAP ERP導入テンプレート「Fact-High Tech」は業務の見直しや標準化だけでなく、具体的な導入イメージを示すことによって、どのように活用するかという点に議論が集中し、結果的に短期間でのカットオーバーに直結したという。「実際に導入テンプレートで具体的な方法が目に見えて検討ができたという意味でもテンプレートの意義は大きかった。以前ERP導入の検討をしたときはシステム要件ヒアリングを長期間行い、業務に合うかどうか検討していくという導入方法をとったため、結果として考えていたものと違うという状況に陥り検討期間がいたずらに長期化した。今回は最初からSAPの画面を確認しながら、実際の動きはこんなもので、本当の入力の業務でどのような画面の推移があるのか、そういったものも見ながら作業を進められたので、通常の導入より遙かに運用イメージが掴めやすかった」と導入テンプレート「Fact-High Tech 」により短期間・少人数での導入に繋がったポイントを豊田氏は語った。

松村 幸彦氏
管理統括 IT Expert
万膳 英和氏

業務全体が見渡せるようになったことで社内の意識変化につながった。豊田氏はERP導入効果をこう見る「今回SAPを導入してシステムを扱う人間が増えたということで意識が変わった。今までのシステムだと、自部署の処理だけである程度完結する部分がありましたが、ERP導入により、他部門や後続の部門を意識しながら業務を進めていかなければならず、考え方や仕事の取り組み方が変わってきている」
今後運用体制が安定すれば会社としての効率化を考えた仕事の取り組みが全社的にできるようになるという手応えがあるようだ。
他に実務においても各種データの有効活用がしやすくなっているシーンがあるという。「今まではデータが部門ごとに閉鎖的で、各部門が手作業でそれぞれデータをまとめている状況でしたが、ERPにより全体がすぐ見える形になった。海外の工場とデータ連携もオフコン時代は数時間かけてデータを加工していたのがかなり楽になった」という。
「今後は中国工場のシステムがSAPなのでシステムレベルでのデータ連携をおこなうだけでなく、ERPを基盤とした情報の活用という意味で、日本のコーデンシだけに限らず、グループ全体の情報リソースを有効活用できる体制作りを進めていきたい」と豊田氏は今後のデータ連携へ の意欲を語った。 経営的な面からの課題を松村氏はこう説明する。「短期的には経営というより実務面での正常化・能率化を図っていきたいと考えている。例えばデータ活用のためにもデータの入力量は従来のシステムと比較し格段に増加した。そういった面での担当者の負荷を今後減らすような、例えばバーコードを活用するなど、システムの補填を今後考えていきたいなと思いますね」さらに「その後経営的な課題としてデータを いかに活用するかということが一番大きなポイントになる。あくまでもそこはERPという基盤システムであってそこからどういう枝葉をつけていくかなど、SAPは自由度も高いのでいろいろな取り組みを行っていきたいと思っている」と今後のシステム活用に熱意を見せた。

※ 記載されている社名、商品名は各社の登録商標または商標です。
※ 本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は導入当時のものであり、変更されている可能性があることをご了承ください。