導入事例

タビオ株式会社様

グローバル展開を視野に30年来のメインフレームからSAP ERPへ全面刷新

取組

  • 30年来のメインフレームから、SAP ERPへ全面刷新
  • 生産、在庫、販売管理まで情報のリアルタイムな可視化
  • 技術力を裏打ちされた短期間でのプロジェクト遂行

効果

  • システムのシームレスな連携による事務品質向上
  • 現場判断早期化による全社最適業務の実現
  • リアルタイム可視化による経営決定の早期化

卸・小売業界におけるグローバル大規模プロジェクト

タビオ株式会社

タビオ株式会社

創業
1968年3月
設立
1977年3月
本社所在地
大阪市浪速区難波中二丁目10番70号
なんばパークス内パークスタワー
事業内容
靴下の企画・製造・卸・小売、フランチャイズチェーン(靴下屋、マイティソクサー)の展開、直営店(靴下屋、マイティソクサー、ショセット、タビオ)の運営
URL
http://www.tabio.com/jp/

30年以上運用する基幹システムをSAP ERPで刷新
短期間、低コストで業務効率化と内部統制を実現

1968年の創業以来、“Made in Japan”の靴下にこだわり続けるタビオ株式会社。現在、日本国内に、直営店とフランチャイズ店あわせて約280店舗を展開している。また2002年には、海外1号店をロンドンにオープンし、日本、英国、仏国の3カ国で店舗展開するほか、インターネット販売にも積極的に取り組んでいる。タビオでは、順調に事業を拡大する一方で、30年以上メンテナンスしながら使い続けている基幹システムが限界に近づいているという課題を抱えていた。そこでテクノスジャパンのサポートにより、基幹システムをSAP ERPで再構築した。

30年以上運用する基幹システムが限界に内部統制の観点からも迅速な対処が必要

「私たちは世界一の靴下総合企業を実現します」というビジョンに基づき、創業から40年以上、「お客さまの足にやさしい靴下」をひたすら追求してきたタビオ。現在、「靴下屋」「ショセット」「タビオオム」などの靴下専門店ブランドを日本全国で展開するほか、「Tabio」をロンドンに7店舗、パリに1店舗展開している。
高品質でファッション性の高い靴下を適正な価格で提供することを目指し、過剰生産を最小限に抑え、顧客のニーズに敏感に対応できる生産体制および流通体制を、国内工場を中心に確立。商品管理においても独自の高い品質基準を設けており、研究開発室では、常に検査および品質管理、品質向上に取り組んでいる。
こうした日常業務にITシステムの活用は不可欠となるが、タビオではメインフレーム上に独自に構築した基幹システムを30年以上メンテナンスしながら運用してきたために、いくつかの課題を抱えていた。タビオで公認会計士という肩書きを持ちながら、今回の基幹システム再構築のプロジェクトリーダーを担当した関淑束氏は、次のように語る。

関淑 束氏
公認会計士
関淑 束氏

「店頭業務では、特に問題なくデータを利用できているように見えるのですが、たとえば、品番と色ごとに採番されているはずの商品コードが、品番単位でしか分析できないなど、管理面での利用に問題がありました。また、システム上の制約があり、部門ごとの損益計算書の精度を向上させることができない状況でした」
また現在、約2万点の商品がマスター登録されているが、商品コードが5桁のため、商品点数が増えていくと品番が枯渇するという問題も抱えていた。関氏は、「最悪の場合には、同じ品番を別々の商品で使い回していました。2つの商品で1つの品番を使っているので、適正な分析もできませんでした」と話す。 さらに過去の在庫データは、紙ベースで管理されていたために、業務分析のためには紙に印刷されたデータを利用しなければならず、分析や監査業務は困難な状況だった。関氏は、「内部統制に関しても、監査法人より指摘を受けていたので、早急に対処する必要性がありました」と話している。
そこでタビオでは、まずは内部統制の見直しからプロジェクトをスタート。それにあわせて、基幹システムを再構築することを決定した。

システム要件の適応度でSAP ERPを採用
導入実績を評価してテクノスを選定

タビオでは2008年12月より、まずは社内で基幹システムの再構築に関する検討を開始。コンサルティング会社の協力によりRFP(Request For Proposal)を作成した。その後、2009年7月に、6社のシステムインテグレーター(SI)に提案を依頼。独自開発からERPまで、さまざまな提案の中から、SAP ERPの採用を決定する。
SAP ERPを採用した理由を関氏は、「短期スケジュールで基幹システムを再構築したかったことがSAP ERPを採用した最大の理由です。独自開発で時間をかけるとそれだけコストもかかってしまいます。また、いくつかのERP製品の提案がありましたが、SAP ERPが最も独自開発を抑えることができ、弊社が要求するコストと短納期を実現できる製品でした」と話す。
関氏は、「6社の提案を検討した結果、我々の求める基幹システムの要件に対して、最も適応度が高かったSAP ERPを採用することを決めました。そこで10月に、さらに7社にSAP ERPによる基幹システム再構築の提案を依頼し、最終的にテクノスジャパンをパートナーに決めました」と話す。
テクノスジャパンを選定した理由を関氏は、「SAP ERPを導入してきたこれまでの実績と、短期スケジュールでの導入提案を評価してテクノスジャパンに決めました。またフィット&ギャップ分析の適合率が高かったことも理由のひとつです」と語る。その後、SAP ERPの導入を開始し、2010年11月に本番稼働している。
今回、構築された基幹システムは、SAP ERPの販売管理 (SD)、在庫購買管理(MM)、財務会計(FI)、管理会計(CO)、BusinessWarehouse(BW)、BusinessObjects(BO)を中心に、POSシステムや物流倉庫システム、生産管理システム、海外システム、商品管理・需給調整のWebシステム、FAXサーバなどの周辺システムが連携されている。
商品の注文データや販売データは、POSシステムからSAP ERPに流れ、さらに工場の生産管理システムや在庫管理システムに流れる仕組みになっている。システムソリューション部 係長の井上武尋氏は、「工場では、朝一番で昨日の売上と本日の受注状況、物流倉庫の在庫状況を把握し、生産管理をしています」と話している。

データの効率的な管理と業務の効率化、内部統制への対応などを効果的に実現

井上 武尋氏
システムソリューション部 係長
井上 武尋氏

タビオでは、SAP ERPを導入したことで、生産情報から在庫情報、販売情報までの効率的な管理と共有が可能な仕組みを実現。商品部や各店舗、工場、倉庫などの担当者は、必要な情報を必要なときに入手する環境が整った。
関氏は、「データが非常にスムーズに分析できるようになったのは、SAP ERPを導入した大きな効果でした。また品番体系も新たに整備し直し、5桁から9桁に増やすことで、在庫管理の精度も向上しています」と話す。
また井上氏は、「以前のシステムでは、データが集約されて管理されていました。そのため、問題発生時に何が悪くて数字がこうなっているのかを把握することができませんでした。データを掘り下げていくことが難しかったのですが、SAP ERPでは明細データを蓄積しているので、問題が発生してもすぐに原因を特定することができるようになりました」と言う。
さらに関氏は、「SAP ERPを導入したことで、社内の管理会計上のルールを変更したり、内部統制をきかせたり、過去にシステム上の制約でできなかったことができるようになりました。たとえば、品番の桁数不足による商品コードの問題や内部統制の確立など、抱えていた課題をすべて解決することができました」と話している。
そのほかにも旧システムでは、システム上の月次処理を徹夜で作業しなければならなかったが、新システムでは徹夜作業はまったくなくなっている。井上氏は、次のように語る。「現場から基幹システムの修正を依頼されて修正をすると必ず月次処理で問題が発生していました。そのため、原因調査で徹夜をするというようなことが以前ではありましたが、SAP ERP導入により、担当者依存のリスク低減とシステムの信頼性向上を実現できました」
SAP ERP導入におけるテクノスジャパンのサポートに関して関氏は、「かなり短いスケジュールの中でのシステム開発でしたが、実現できたのはテクノスジャパンの柔軟かつ迅速なサポートがあったおかげです。導入コストの面でもかなりの効果があったと思っています」と話している。
テクノスジャパンでは、SAP ERPの標準機能の利用とカスタマイズのメリハリをつけることでタビオの基幹システムを再構築した。特にタビオのコアコンピタンスを生かすことを重点にシステム構成を決定。柔軟な周辺システムとの連携の実現も重要なポイントだった。

より一層の業務効率化に向け機能を拡張
海外拠点との業務システム連携も検討

今後の取り組みについて関氏は、次のように語る。「まだ本番稼働して1年なので、今後も微調整は必要であり、そのための修正は引き続き行っていきます。また現場との調整が済んでいない部分にも取り組んでいきたいと思っています」
たとえば購買部門では、毎日生産工場へ発注作業を行っているが、どれだけ発注するかは担当者の力量に依存している。関氏は、「発注量の自動提案等、より効率的な業務の仕組みを提供することが、今後の基幹システムにおける課題のひとつです」と話す。

タビオ株式会社

また井上氏は、「現在、お客さまから店頭にない商品の問い合わせがあると、店頭より物流センターに電話で在庫状況を確認しています。しかしSAP ERPに在庫データが蓄積されているので、スマートフォンやタブレットなどでリアルタイムに在庫を確認できる仕組みを実現したいと思っています」と言う。
さらに海外拠点について関氏は、「今後の取り組みとしては、商品供給の改善を図るために、商流を変更することを検討しており、SAP ERPと海外の販売管理システムの連携も検討している。引き続きテクノスジャパンのサポートには、大いに期待しています」と話している。

※ 記載されている社名、商品名は各社の登録商標または商標です。
※ 本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載日現在のものであり、閲覧時には変更されている可能性があります。