導入事例

ユニチカ株式会社様

企業間協調プラットフォームCBPで企業間取引のペーパーレス化を実現
~基幹システムの使い勝手の向上で現場負担も軽減~

取組

  • ヒアリングを通じ、各部署の異なる商流習慣を把握し、丁寧にプロジェクトを推進
  • 現場業務の効率化を図るため、UI(ユーザーインターフェイス)を工夫したサブシステムを用意
  • 基幹システムとの連携を重視した設計で、アナログ業務からの脱却を図る

効果

  • 現場ニーズに応えるコミュニケーションで、プロジェクトを円滑に推進
  • 現場業務の効率化が実現し、システム導入先も拡大
  • FAX注文を削減し、ペーパーレス化を推進

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ユニチカ株式会社様

設立
1889年6月19日
本社所在地
・大阪本社 〒541-8566 大阪府大阪市中央区久太郎町4-1-3 大阪センタービル
・東京本社 〒103-8321 東京都中央区日本橋本石町4-6-7 日本橋日銀通りビル
事業内容
  1. 高分子事業
  2. 機能資材事業
  3. 繊維事業

ユニチカ株式会社様は、デリバリー担当の残業時間の削減を目指し、旧Web受注システムからCBPへ切り替えを行いました。CBPを採用した理由や、CBP導入時の具体的なエピソードについて、ユニチカ株式会社 情報システム部 基幹システムグループ長の中谷さん、同 情報システム部 基幹システムグループの宮本さん、同社の情報システムの支援を行った株式会社クロスユーアイエスの塩見さんからお話を伺いました。

unitika-case-study01ユニチカ株式会社 情報システム部 基幹システムグループ長 中谷さん(右)
ユニチカ株式会社 情報システム部 基幹システムグループ 宮本さん(中央)
株式会社クロスユーアイエス 塩見さん(左)

繊維技術の応用で多角化し、3つの事業を展開

―はじめに、事業内容や業務内容について教えてください。

近代産業草創期の1889年に紡績会社として創業したユニチカ株式会社は、現在では多角化を進め事業展開しています。

CBP導入に至った背景

―今回のプロジェクトを開始するに至った背景を教えてください。

もともとEDI導入プロジェクトとして、「Phase 1」と「Phase 2」の2段階でEDIシステムの導入を想定しており、受発注業務の効率化を推進してきました。

―「Phase 1」の状況を教えてください。

コロナ禍の以前より、「デリバリー担当の残業時間削減」が課題として掲げられていました。それを解決する手段としてEDIシステムの導入が決定されました。

多数の部署があるユニチカ株式会社のなかで、樹脂事業部とフィルム事業部に、先行してEDIシステム(以下、「旧EDIシステム」)の導入を推進しました。樹脂事業部には、旧EDIシステムの導入が比較的スムーズに行われました。一方で、フィルム事業部では、旧EDIシステムの導入が進みませんでした。その理由は、旧EDIシステムと基幹システムとの連動が不十分なことと、ユーザーインターフェース(UI)が利用者の要望をカバーしきれていなかったためでした。フィルム事業部には、デリバリー担当が多く所属しています。しかし、デリバリー担当の業務負担が軽減されなかったため、旧EDIシステムの導入に拒否反応を示されてしまいました。

当初は、樹脂事業部やフィルム事業部以外の多くの部署へ、旧EDIシステムの導入を拡大することを予定していました。しかし、現状のまま旧EDIシステムの導入を推進しても業務効率化が実現せず、プロジェクトの成功が見通せないため、一旦立ち止まって考えることにしました。特に、旧EDIシステム導入に関して課題だと感じていたのは、①EDIシステムは取引顧客にとっても導入メリットがある点の訴求と、②デリバリー担当の業務効率向上に寄与するシステムである点の訴求でした。

「Phase 1」の課題解決のため、「Phase 2」では導入を推進した旧EDIシステムへのさらなる投資は中断し、新たにベンダー選定から再検討することとしました。

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図:CBP導入の背景

 

―課題を解決するためのDX化に必要な条件について教えてください。

「Phase 1」の経験を通して、EDIシステムを完成することと、現場へのスムーズなEDIシステム導入を実現することは、別次元の難易度があることを実感しました。また、旧EDIシステム開発において、固定の開発費用がかかる方式になっていた点も改善したいと考えていました。これらを解決することがDX化に必要な条件です。

ユニチカ株式会社において、このプロジェクトは大規模なEDIシステム導入として推進しています。このため、「Phase 2」を推進するにあたり、システム選定基準を再考しました。基準は大きく2つあり、①投資済みの旧EDIシステムの仕様などを継承できることと、②システム開発費用が取引顧客数に応じた利用料金で導入できることとしました。

重要なのは、既存システムとの融合でゴールを目指すこと

―CBPを選択した理由をお聞かせください。
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中谷さん

他のEDIシステムと比較した際に、CBPはフィット&ギャップにおけるギャップ率が低いと感じました。具体的には、旧EDIシステムを踏襲するための初期投資や、スペックアップに伴う費用など、全体的なコストパフォーマンスのバランスが取れていました。さらに、EDIシステムの導入に向けた打ち合わせにおいて、ベンダー側より提供可能な機能について、詳細かつわかりやすく説明が行われたため、とても好印象を持ちました。これらの点がCBPを選定した理由となりました。

デリバリー業務の効率化で、残業時間削減に期待が高まる

―CBPを導入後、現在のDX化の度合いはどうなりましたか。
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宮本さん

「Phase 2」として、CBPをEDIシステムとして導入を図った樹脂事業部では、何の問題もなく活用されています。また、「Phase 1」で旧EDIシステム導入が難航したフィルム事業部では、取引顧客へのCBP導入も無事決定しました。

現場が、システム導入に前向きになった理由の1つに、注文書の確認方法が改善されたことがあります。
具体的には、旧EDIシステムは、注文書を処理する際に、明細一行毎に内容確認のため横スクロールする操作が必要で、使いづらいと指摘されていました。CBPでは、それを縦スクロールに変更し、現場の負担感が軽減されたため、使ってもらえるシステムに変貌を遂げました。現場が日々業務を行うにあたり、実情に合わせた作業手順に沿った仕様に変更したことがポイントになりました。これにより、取引顧客にもCBP導入を提案してくれるようになりました。

DX化の成果としては、受発注業務における企業間取引のペーパーレス化を推進することができました。
CBP導入前は、FAXで受け取った注文情報を、バインダーに保存して管理していました。CBP導入後は、内部統制上も認められているデータによる管理が実現しました。また、CBPの導入が進んだデリバリー担当からは、契約作成に必要なさまざまな情報があらかじめ設定されているため、基幹システム側での契約入力が楽になったとの意見が上がっており、これも成果の1つだと考えています。

「Phase 1」で多くの部署に旧EDIシステムを導入することを中断し、プロジェクトのゴール達成が危ぶまれていました。しかし現在は、新たにガラス事業部への導入を拡大するなど、「デリバリー担当の残業時間削減」の実現というゴールに向けて、着実にプロジェクトを推進し、CBPの導入を拡大しています。

現場と取引顧客の目線を持つことが、プロジェクト推進の鍵

―CBPの導入はスムーズに進みましたか。

ユニチカ株式会社の現場では、いったんプロジェクトが始まると、徹底的に取り組む姿勢がみられます。一方で、ITに対する期待値は低いのが現状です。そのため、CBP導入においては、プロジェクトに徹底的に取り組む姿勢を持ってもらえるよう、最初の一歩を踏み出してもらえるように注力しました。

―CBP導入にあたり工夫したことについて教えてください。

旧EDIシステム開発時にも、現場へのヒアリングを行っていましたが、コミュニケーションのすれ違いが生じ、理想の実現には至りませんでした。主な原因は、現場にベンダーが入り込めず、情報システム部が現場とベンダーをハブとして介在する必要が生じたことにあると考えています。つまり、ベンダーが現場の真のニーズを十分に引き出せなかったことが、つまずきになったのだと考えています。

この課題を認識していた株式会社テクノスジャパンの西山さんは、多い時には週3回のペースで、現場の声を直接聞く機会を設けてくれました。このようにコミュニケーションの工夫を行ったことで、業務の実態を把握している現場と、CBPのポテンシャルを理解しているベンダー間のコミュニケーションロスが大幅に減少しました。こうした工夫の結果、基幹システム側の仕様変更にも柔軟に対応できました。

それ以外にも、現場へのヒアリングを通して、CBPの利用効率を高めるためにサブシステムの開発が必要なことが判明しました。このため、フィルム事業部向けに、独自のサブシステムの開発を行うなど、現場の使い勝手向上を意識した工夫を行いました。

このように、現場に寄り添い、ユニチカ株式会社の情報システム部と株式会社テクノスジャパンが二人三脚でプロジェクトを推進したことにより、CBP導入部門を拡大することができました。

お客様の声

宮本さん:ユニチカ株式会社は、複数の事業を取り扱っています。事業部ごとに業務プロセスがまったく異なるため、それぞれが別の会社と言ってもよいほどです。今回のプロジェクトは、普通のベンダーであればややこしい案件として尻込みしそうなものです。ところがベンダーの株式会社テクノスジャパンは、この説明をしてもまったく嫌な顔をせず、チーム一丸となって「やってやろう」、「どんと来い」という熱意を見せてくれました。パートナー選定にあたり、CBPのサービスとしての機能だけでなく、こうしたベンダーとしての伴走する気質に後押しされた部分があります。

中谷さん:直近のシステム導入では、ユニチカ株式会社にとってのメリットを大前提としていました。しかし、今後は取引顧客とのシナジーを発揮することを視野に入れて、システム導入を進めていきたいと考えています。このような展望を持つなかで、株式会社テクノスジャパンは一緒に取り組んでくれるベンダーであると期待しています。今後とも変わらず、伴走していただきたいと思っています。

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宮本さん(左)、中谷さん(中央)、塩見さん(右)

 

担当コンサルタントによるCBPの導入効果まとめ
  1. 現場のニーズに応えるシステム導入
    CBPは、現場の担当者が使いやすいUIを実現しており、システム利用の抵抗感を軽減しました。その結果、業務スピードが向上し、ミスが削減されました。
  2. 既存基幹システムの使いやすさ向上
    CBPの導入に伴い、既存の基幹システムとの連携が強化され、契約入力作業が容易になりました。その結果、担当者はスムーズに情報を入力し、関係者と情報共有することができるようになりました。
  3. ペーパーレス化の実現
    CBPの導入により、FAX注文を含むアナログの紙管理からデータ管理に移行し、ペーパーレス化が実現しました。取引情報がリアルタイムで関係者に共有されるため、業務の透明性が高まり、業務プロセスが効率化されました。
  4. 企業間における受発注取引の効率化
    CBPを介して、取引データの標準化・共通利用が進み、企業間取引全体の効率化が図られました。その結果、サプライチェーン全体の最適化が推進され、企業パフォーマンスが向上しました。
担当コンサルタントによるCBPの今後の展望

今後も株式会社テクノスジャパンは、CBPを通じて企業間取引のデジタル化を推進し、さらなる業務効率化とペーパーレス化を目指していきます。ひいては社会全体のDX化に貢献し、お客さま企業の競争力を高めるための伴走支援を強化してまいります。

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